====World History=====================================================

          謎 の 世 界 史 人 物 伝

                             ---No.12---
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●◎○ アウグストゥス 前63〜後14 ○◎●


////概要データ////

 ローマ帝国初代皇帝。在位前27〜後14。皇帝になってからのアウグストゥ
スは、絶えず後継者について悩むことになる。嫡子に男子がいなかったため、妻
リウィアの連れ子か、先妻との娘ユリアの夫か、その子供達の誰かを考えていた。
 そんな中、リウィアの連れ子の一人ティベリウスは、後継者候補にもなってい
なく、アウグストゥス自身、あまりティベリウスの人物を好きでなかった。それ
でも次の皇帝に選ばれることになる。どうして選ばれたのでしょうか?

 アウグストゥスの皇帝になるまでのお話は、前号オクタヴィアヌスにまとめら
れています。バックナンバーを参照してください。
 また、今回は下に系図をつけました。参照しながら読むとわかりやすくなると
思います。


////周囲の状況////

 アウグストゥスが3人目の妻リウィア・ドルシラと結婚したのは、紀元前38
年のことだった。その時、リウィアには2人の息子ティベリウスとネロ・ドルス
スがいた。一方、アウグストゥスには先妻スクリボニアとの間に一人娘のユリア
がいた。
 連れ子の2人はアウグストゥスとは何の血のつながりもなく、リウィアとの間
に子供もできなかったので、当初はユリアの夫に皇帝を継がせ、その子供達に引
き継ぐことで、アウグストゥスの家系であるユリウス家に世襲させようと考えて
いた。


////人物ロマン////

 最初に白羽の矢が立ったのは、アウグストゥスの実妹オクタウィアの息子マル
ケルスで、早速ユリアと結婚させた。しかし、この後すぐにアウグストゥスは危
篤におちいる。この時まだ10代だったマルケルスを役不足と見たのか、アウグ
ストゥスは友人のアグリッパに帝位を譲るかのような行動をとってしまった。
 病気の持ち直したアウグストゥスを待っていたのは、マルケルスとアグリッパ
による激しい権力闘争であった。しかし、あっけなくマルケルスは病で死んでし
まう。
 未亡人となったユリアは、アグリッパを夫に迎えることになった。実に25才
の年齢差であった。2人の間にはガイウス、ルキウス、アグリッパ・ポストゥム
スといった3人の息子と他に2人の娘をもうけた。

 早速、アウグストゥスはガイウスとルキウスを養子に迎え入れる。しかし、前
12年にアグリッパは死んでしまった。もし今、アウグストゥスがいなくなると
ガイウスとルキウスは幼いまま放り出されることになる。どうしても後見人が必
要だった。そこで目をつけたのがリウィアの連れ子ティベリウスだった。
 ティベリウスは妻ウィプサニアと仲がよかったのだが、強引に離婚させられ、
ユリアと結婚させられてしまった。これに不満だったのか、しばらくたつとロー
ドス島へと隠棲してしまうのであった。さらに後にはユリアを離縁してしまう。

 紀元後2年ルキウスは急病で死んでしまう。兄ガイウスもその2年後には病気
で死亡した。残るアウグストゥスに繋がる血筋はアグリッパ・ポストゥムスだけ
であったが、粗暴な性格であったためアウグストゥスは彼を嫌い、終身流刑にし
てしまった。
 ここにきてようやくティベリウスが帝位継承争いのトップに登場することにな
る。隠棲先から戻ってきたティベリウスは母リウィアの後押しの元、有能な将軍
であることを証明し続けてみせた。

 それでもアウグストゥスは血筋にこだわった節がある。彼の死の直前アグリッ
パ・ポストゥムスの流刑の地を訪れたのだ。
 しかし、かろうじてティベリウスの勝利に終わる。
 14年8月19日アウグストゥスは、ティベリウスを後継候補にしたまま、ナ
ポリ北東の町ノラで死んだ。もうすぐ76才の誕生日であった。


////その後////

 遺体はローマに運ばれ、盛大な葬儀が行われた後、焼かれて遺灰は大霊廟に安
置された。
 ティベリウスの皇帝誕生にはアウグストゥスの妻リウィアが多分にかかわった
という噂がたった。マルケルス、ガイウス、ルキウスの死の陰謀を巡らせたので
はないかというのだ。さらには、アウグストゥスさえも殺害したのではないかと
ささやかれるようになった。
 真相は闇の中だが、リウィアは29年86才という高齢で亡くなった。
 ティベリウスはというと、軍人としては才能があったが、政治家としてはあま
り評価のされない人物であった。それでも、ローマ帝国は以後大繁栄を遂げ、東
西に分裂後も東ローマ帝国は1453年まで命脈を保つのであった。


////系図////

*太線は結婚関係です。等幅フォントで見てください。

    ┌─────┴─────┐
    │           │
    │ スクリボニア┯アウグストゥス━リウィア
    │       │         │
  オクタウィア    │     ┌───┴─────────┐
    │       │     │             │
   マルケルス━━━┓│     │             │
           ┃│     │             │
マルクス・アグリッパ┯ユリア━ティベリウス━ウィプサニア    │
          │                     │
  ┌───┬───┴────┬────────┬──┐ ネロ・ドルスス
  │   │        │        │  │    │
ガイウス ルキウス アグリッパ・ポストゥムス ユリア │    │
                           │    │
            ┌──────────────┘┌───┴┐
            │               │    │
           ウィプサニア・アグリッピナ┯ゲルマニクス  │
                        │        │
                    ┌───┴┐       │
                    │    │       │
                  カリグラ   │       │
                         │       │
                  ユリア・アグリッピナ━クラウディウス
                         │
                        ネロ


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次号予告 マリア・テレジア

あとがき ティベリウスの後の皇帝は、カリグラ、クラウディウス、ネロと続き
    ます。カリグラの妹にユリア・アグリッピナがいて、ネロを生むのです
    が、彼女はリウィアが足元にも及ばないほどの悪女ぶりを発揮します。
    その妄執ぶりにネロの性格をねじ曲げ、ネロに殺されてしまいますが、
    この辺のお話は、またいつかしたいと思います。
     次回は一周年記念号です。ハプスブルク家の女帝の生き様をお楽しみ
    に。