「小さな花がひらいた」茂次 

平成3年2〜3月 バウホール
山本周五郎原作「ちいさこべ」より

<あらすじ>
江戸の町はそれまでにも幾度となく火事で焼かれていました。
今回の火事は江戸の広範囲が燃え,両親が亡くなったと聞いた
茂次でしたが川崎の出仕事から帰らず仕事を見事にやり遂げて
から江戸に戻って来たのでした。生き残った「大留」の大工連中の中
に 飯炊きとして雇われた近所の長屋の幼なじみ「おりつ」(梢真奈美)
の姿がありました。おりつもまたこの火事でたった一人の肉親
である母を亡くしていたのでした。近所の焼け出された孤児達を
大勢引き取って自分で育てると言い張るおりつに 茂次は
一度反対しますが,自分と同じく両親を亡くした子供たちに愛情を
感じ始め,子供たちの為に建て増しをしたり,休みの日には
山遊びに連れていったりするようになっていきます。子供たちの
世話には町内の大店である質屋の娘「おゆう」(華陽子)も参加し
ていました。美しく教養もあるおゆうに子供たちはなつくように
なりますが,茂次をひそかに慕うおりつは,茂次も子供達も
取られそうで気が気ではありません。火事の後,家業は
上手く行っていましたが,ある日一つの建築現場がまたもや
火事で焼けてしまいます。手付けの金を返して謝ろうというのが
「大留」皆の意見でしたが 茂次は大火事の折りに父親が
命がけで井戸に投げ込んで助かった大留の看板をカタにお金
を貸して欲しいと質屋に持込みます。娘おゆうが茂次に惚れて
いることと茂次の大器を見た質屋の女将はおゆうとの結婚を
ほのめかしてお金を貸すことを約束します。借金をしてまでも責任
を持って焼けてしまった家を建て直した「大留」は,世間から
大変な評判となり注文が次々に舞い込むようになります。
一方,茂次とおゆうの婚礼の噂はたちまち広がって,おりつは
「大留」を出る決意を固めますが,間一髪子供たちが茂次を
現場まで迎えに行き,おりつの前に立ちはだかります。茂次は
おりつに

「女房になるのかならねえのか,どっちだ」

と言い捨てますが,おりつは喜びのあまり泣きじゃくり,子供たちの
歌う「もう涙とはおさらばさ」が流れます。

<ひとくちメモ>
大工の若棟梁 孤児達との心の触れ合いを描いた作品
新人公演(星組時代・本役瀬戸内美八さん)以来,思い出の
作品とのことで,ルコさんもこの作品で退団したかったと
語っています。江戸っ子らしいきっぷの良さが大評判でした。
主題歌も覚えやすく,さわやかなルコさんの退団公演に
ふさわしい心に残る作品でした。日本物のさよならショーでは
宝塚で公演された山本周五郎作品の主題歌「白い朝」
「落ち葉のしらべ」「いのちある限り」等が 歌われました。


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