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3億円事件 第3話


家の中は殺伐としていた。冷蔵庫の中は空っぽ。裸電球が頼りなくぶらさがっている。
ふと時計を見た
面接が3時だったから、もうあれから6時間が過ぎていた。
どうやらふらふらと公園のベンチに座っていたのがいけなかったらしい。
いつものこの我が家に帰っても
、まだ震えがとまらない。
憧れだった念願の就職。しかしその仕事は憧れとはかけ離れたものだった。
「ふぅ・・・」声にならないため息を出しながらテレビの前に座り込んだ。
ふと右手の畳の上をみると両親からの仕送りと手紙の束があった。
ふと一番上にあった手紙を見る。
手紙はいつものように家の近況と体に気を付けなさいよといったような内容が続いていた。

「本当は仕送りだってつらいはずなのに。」

実家は父の会社のかなりの借金を抱えていた。
東京への一人暮らしも始めは父に反対されていた。
しかし、母は俺を理解し、快く東京に送り出してくれた。

親孝行一つしていない。

俺は親孝行のつもりでよい東京の大学へ入った。
いつかは一流会社に就職し、実家の借金をかえそうと心に誓っていた。

「早く、親孝行をしてやらなければ。」

もし、この話を受ければ、実家の借金どころか新しい家だって買ってやれる。
もしかしたら、一生遊んで暮らせるかもしれない。

時刻は午前0時をさしていた。

そろそろ体が眠りを要求してきたらしい。

俺は今日結論を出すのをやめにした。


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