翼 を下さい。
<ガタリの手記より>
最近は、天空人達をほとんど見なくなってしまった。
彼らは、空に浮かぶ島に住んでいる。
毎年、今ぐらいの季節には、
寒い島から暖かい島まで、群れを作ってわたっていく姿を見たものだ。
その時に、よく地上まで降りてきては、旅人達と会話していった。
しかし、最近では彼らが、島を出るところを見ることがほとんどなくなってしまった。
彼らは滅んでしまったのだろうか?
それともあんなことがあって、外の世界が嫌いになってしまったからだろうか?
彼らは昔、地上人に狩られていた。
地上人達はよく、彼ら天空人の自由に飛ぶ姿を見ては、空にあこがれていた。
そのように、皆があこがれている中で、
一部の権力者たちは、あらゆる分野の者に、空を飛ぶ研究をさせていた。
あるものは人を乗せて飛べるような鳥を生み出そうとして、
あるものは空飛ぶ機械を作ろうとして、
あるものは魔法の力により・・・
しかし、誰も空を飛ぶ方法を完成させられなかった。
それらの中には、背中にとりの羽根を移植し飛ぼうとするものも現れた。
彼らは、移植に成功し、羽根を羽ばたかせることには成功した。
しかし、誰も飛ぶところまではいかなかった。
その後、飛ぶことはあきらめたが、
アクセサリーとして体のどこかに移植することが、一部の地上人の間で流行りだした。
彼らは背中に移植させることはもちろんのこと、
耳を羽根に交換したり、
腕を切り、羽根に替える者も現れた。
それら、取り付ける羽根の種類もいろいろだった。
鳩、雉、烏、白鳥・・・
そして当然ながら、彼らはより美しい羽根、珍しい羽根を競うように求めた。
そして、この地上で一番美しく、珍しい羽根を持つ、天空人達が狙われるようになった。
天空人達はハンターに狩られていった。・・・彼らの羽根を採るためだけに・・・
一部生きたまま捕まった者も、オスは貴重な労働力として、
メスは、その美しい姿を地上人の慰みものとして高価な値段で売買されていった。
そして、利用され死んだあとは、羽根を奪われていく・・・
こんなことがあって、次第に天空人を見る機会が減り、今では全く姿を見せなくなってしまった。
現在は、それぞれの国で捕獲を禁止する法律が制定され、保護されている。
しかしもう、天空人達は姿を現してはいない。
いつしか彼らは、私達の前に姿を現せてくれるのだろうか?
そして、そのきれいな羽根で、私の背中を飾ってくれるだろうか・・・
終