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 恐ろしい夢を、見た。


 宇宙だった。
 人間の肉眼では何も無いように捉えられる宇宙。
 水も空気も光も無い。
 わたしの、強く鋭く禍々しく不格好で醜い機械の躯を覆い隠してくれる闇で満ちた世界。
 わたしの機械の目には人間の肉眼では捕らえられない物で満ちている宇宙だった。

 名前を呼ばれた。

 れい、と呼ばれた。
 LAYと呼ばれた。
 零とよばれた。


 どれもわたしを指す言葉。


 わたしの名前。同じ音。わたしの服。
 でもどれが本当の『わたし』?


 判らない。分からない。解らない。


 わたしの体は機械で出来ている。
 でも機械そのものでは無い。
 わたしは機械の体を得たことに後悔はしていない。恐れていない。

   LAY、アナタハ自分に嘘をツイテイマスカ?

 CHと闘う。CHの作った機械達を壊す。
 そのためにはCHと同等…否、CHたち以上の力を必要とする。
 人間の限界を超えた力を必要とする。
 肉体の限界を超えた体を必要とする。
 CHの、機械たちに近づく事を必要とする。

 生き残る為に技術の、機械の、作り物の力を必要とする。
 だけど、わたしは機械そのものにはならない。
 わたしはCHの、CHの係累にはならない。


 機械を使っても、わたしがわたしであるため。


 わたしの存在意義を現すために機械の体を用いる、必要とすることはあっても機械そのものにはならない。


 わたしは機械に使われたりしない。
 わたしは機械に使われたくない。


 LAY、だと?
 わたしをLAYと呼ぶな。
 わたしを喚ぶな。
 わたしを機械のように喚ぶな。
 わたしを機械のように、使い、使役しようとするな。


 わたしは人間だ。
   ナラバ、ナゼ死ナナイ?
 人間として生きる。ただそのために。
   否・機械ダカラコソ今マデ生キ残レタ。
 機械ではない。わたしは人間だ。
 なぜなら、『死ぬ』ことだって出来る。
 わたしの決断、わたしの意志、わたしの腕で。


 恐ろしい夢を、視ている。
 わたしは恐ろしい夢を、視続けている。



ハヤク、目醒メナケレバ…




 目を開く
ドクの顔が映る
「貧血で倒れていた」と言われた
「訓練の夢を見ていた…宇宙を、闇の中を飛んでいた」とわたしは答えた
ベッドから降りようとすると、足元がふらついた
「…酔っているみたい」
ドクに「無理をするな、もう少し休んで行けばいい」と言われた

そうも行かない
わたしは歩いて医務室を出る
床に足がついていてる事を確かめる
「どうかしたのか」と後ろからドクに問われた
「幽霊では無い、と確かめて安心したのです…それだけです」


わたしの、生身
二本の足で