| 古代エジプト− エジプト王国の首都:テーベ 王が、衛兵や家来を引き連れながら戦車に乗り、マルカタ宮殿へ帰ってくる姿が見られる。 その様子を、神殿から見下ろしていた若い僧がいた。 彼は、まだ20代そこらであるのに、若さに劣らず身分の高さと威厳を感じさせるところがある。 僧は、名をセシストと言い、王すらも恐れる怪力を持っているのだった。彼はそんな力を自負し、多くの僧達を束ねていた。 ギィ・・バタン・・ 重々しいドアが開き、閉まる音がする。とともに、足音が聞こえてくる。 「セシスト様」 後ろから呼びかけられたセシストは、静かに振り返り、ひざまずいている僧に対し、「何かあったのか?」と問いただした。 彼に従う僧が、「はい、セシスト様。王が貴方を疑っているようです」と、告げた。 セシストは、不敵に笑い、「王がか?この力を持つ私を疑うのも無理は無い。しかし、私を殺すやつなど誰もいないと思うぞ。」 そう、確かに彼の力を封じ込める者など、いない。だから、彼を殺すと呪いがかかると恐れているのが事実だった。 この時は、セシストも彼に従う僧達も、「セシストを殺すことができない」と思っていたであろう。 しかし、事態は急変しつつある・・。 夜、多くの火をともしたマルカタ宮殿は、幻想的な雰囲気に包まれている。それを一層映えさせるのがナイル川である。 セシストは、星空を眺めつつ、不吉な予感を抱いていた。自分の身に何かが起こると・・。 ドカドカッ ギィ・・パタン・・ 荒々しい馬の蹄の音が聞こえ、神殿の門扉が開く音が聞こえた。 客のようだと分かったセシストは、そばに控えている僧に客は誰かと聞いた。 「はい、見て参ります。」と返事をし、僧は下がって行った。 パタン・・。 僧が下がっていくと、彼は再びテラスに歩み寄り、マルカタ宮殿を眺めていた。 しばらくして、ドアが開閉する音がした。 「セシスト様、さっきの客は王からの使者でございます。王宮にお出まし下さいとのことです。」 僧からの報告を聞いたセシストは、ますます不吉な予感が強くなっていくのが分かった。 しかし、断る気は無かったので、僧らに支度をさせ、マルカタ宮殿に向かった。 マルカタ宮殿の中を歩いていく途中で、通常2〜3人くらいが控えているのだが、この時は5〜6人位が控えているのを見たセシストは、 王が待っているであろう部屋に向かって行くと、部屋には王の奴隷である女アクアナトンがいた。 セシストを呼んだ王はいなかった。多分、セシストが来るのを待って、後から来るのだろう。 王のみに体を許す彼女は、セシストを見て微笑んだ。彼女が苦手なセシストは、苛立った。 「なぜ微笑む?」 セシストは、苛立しげに聞いた。彼女は、ニヤリと笑いながら、肩まである長い髪を触って、言った。 「さぁ?これから貴方に何が起こるのかもしれないわよ?そう・・例えば」 アクアナトンは、そう言いつつ、豊満な胸を隠している麻の布を破った。 驚いたセシストは、布を破って、豊満な胸をあらわにしたアクアナトンを訝しげに見た。 「何をするのだ?」。 彼の戸惑いも知ってか知らずか、アクアナトンは胸を抑え、思いっきり叫んだ。 「きゃああっ、誰か!助けてぇ!」 彼女の悲鳴を聞いた衛兵が、ドアを荒々しく開け、入ってきた。 王は、ビリビリに破られている胸元を見て、そして、戸惑っているセシストを見た。 「セシスト・・、貴様。私のアクアナトンに何かしようとしたんだな!許せん。衛兵、連れて行け。」 セシストは、衛兵に取り囲まれる中で、アクアナトンを見た。 彼女は、王の胸にしがみついて震えていたが、セシストと目が合うと微笑んだ。 この時、セシストは、悟った。 −これは罠だ!王たちの芝居だ!これが感じた不吉な予感なんだ。) セシストは、衛兵に連れて行かれた。 そして、彼は罰を受けた。 行われる際に、彼は呪いの言葉を吐き捨てた。 「我、再び目覚めたなら、このエジプトを滅ぼす!」 その呪いの言葉は、皆を震撼させた。 そして、肉を食う獰猛な虫を入れられて、ミイラの棺に鍵をつけて閉じられた。 セシストが入っているミイラは、アヌビス神の足元に葬られた。 その棺に、呪いの言葉をかけられたまま、裏切りに怒ったまま・・彼は長い眠りについた・・ |